遺言の効果

遺言は、被相続人が相続人に宛てた、相続財産の分割に関する法的に有効な書面です。

種類は、数種ありますが、ここでは一般的な自筆証書遺言、公正証書遺言について紹介していきましょう。

自筆証書遺言

自筆証書遺言とはその名のとおり、相続人本人が自筆(例外あり)で記載した

遺言書です。

遺言書の全文、遺言書の作成日、及び遺言者氏名を、必ず遺言者が自書し、押印します。

遺言の作成日付は日付が特定できるように正確に記載します。(令和3年2月吉日等は不可)

財産目録がある場合は、自書でなくパソコンのワード等で作成した目録を添付したり、不動産の登記事項証明書(土地・建物)を添付したり、通帳のコピー等、明示しやすい方法で作成できますが、各ページには、署名押印が必要です。

書き間違えた場合には、訂正や、書き足した内容の場所が分かるように示したうえで、訂正又は追加した旨を付記し手署名し、訂正又は追加した個所に押印します。(裏表がある場合は、両面に署名押印が必要)

画期的な自筆遺言保管制度について

全国の法務局でスタートした遺言書を役所で保管してもらえる非常に便利な制度です。

自筆証書遺言に該当するか簡単な外形的チェックを受けることが可能です。(内容まではチェックされません。あくまで形式的なチェックのみです。内容までは司法書士にご相談ください。

内容までは、チェックされず法的要件を得ていないものであっても保管される可能性がありますので、必ず専門家に相談する必要があります。(法務省の説明にも、保管された遺言書の有効性を保証するものではないと記載があります。

原本については、遺言者の死亡後50年間、スキャナーでスキャンしたデータについては150年間保存されます。

メリット

  1. 遺言書の紛失 失くしてしまうという恐れがなくなります。
  2. 相続人等の利害関係者による破棄、隠匿、改ざん等を防ぐことが出来ます。
  3. 相続開始後、相続人等の方々は、法務局で遺言書を閲覧したり、遺言書情報証明書の交付を受けることが可能です。

関係遺言書保管通知

相続人のうちの誰かが、遺言書を閲覧したり、遺言書情報証明書の交付を受けた場合、その他の相続人に対して遺言書が保管されている旨のお知らせが届きます。

死亡時通知

遺言者が希望した場合(1人だけ)、遺言者が死亡した時(市役所との連携により)に、法務局があらかじめ遺言者によって指定された相続人に対して、{保管されてある遺言がある旨の通知}が届く制度もあります。

公正証書遺言

その名のとおり、公証人を通して遺言書を書き、保管出来る制度です。

公証人とは、検察庁や裁判所のOBが在籍しており、公の証明を作成する役所の延長に存する機関であると解されます。

メリット

  • 口頭で遺言内容を公証人に伝えることが可能で、法的に有効か無効かを心配する必要がない。
  • 作成された遺言書を、公証役場で保管できる。利害関係者が改ざん出来ない。

デメリット

  • 費用がかかる(例:5000万円まで2万9千円)
  • 公証役場まで行く必要がある。
  • 法務局がするような死後通知制度が利用できない。(相続人の誰かに言っておく必要がある)
  • 遺言者以外に2人証人が必要である。(相続財産が全て知られてしまう為に、信用できる証人を探すのに苦労するケースがあります。当事務所の場合では、当職やもう一人専門家に依頼して証人になってもらうケースが可能です。)
司法書士   松元早苗

法務局の遺言書保管制度が出来るまでは、自筆証書遺言は不十分な制度であると思われていたところが多かったのですが、

役所で保管出来ること(改ざん出来ない・紛失がない)に加え、死後通知制度が併せて制度化されることにより、これまでの公正証書遺言にもまさる制度であります。

しかしながら、遺言書の法的要件がありますので、専門家に相談の上利用するのが良いでしょう。

詳しいご説明は、姫路の松元司法書士までご相談下さい。